~ピパーチは私の恋人だから~「畑の玉手箱だより」

ピパーチは6月の強い陽射しを浴び、苔の生えた石垣にゆったりと這う。

時折、ピパーチの花の香りが風にのって辺りを舞う。

セミの鳴き声を合図に緑の葉の隙間からツンツンと熟れた赤い実が頭を出す。

私と娘はその赤い実を摘み、瓦に並べてクレヨンごっこ。ハート形の愛らしい葉で赤い実や青い実をくるくる巻きにした遊びなど、どれも与那国比川での暮らした頃の懐かしい思い出。


ファームでは私以外に、インドボダイジュやガジュマルたちが草花の見守りをしています。
のどかな自然の中で南の島のハーブたちと、ときには語らい、手づくり商品のしつらえ方を教わります。

ローズは冷え込むと香りがのる、収獲は午前の陽の光が強いときが良いとか、ローゼルは収穫が遅れると果実に繊維が入り、ジャムには不向きだとか、ウコンやワイルドジンジャ―など根茎を利用するものなど、ハーブソルトに使う数多いハーブの収獲タイミングなどが促されます。

ハーブたちの指示通りにはうまくいきませんが、それでも南の島に育まれた美味しいもの、香りのよいものは、ハーブ本来のもつ姿をそのまま届けているのだから、お許しくださいと心に呟いています。
なにより、植物の最大限のパワーを活かすために栽培からこだわり、日々努力しているのだから。

腐葉土の中で野菜くずをたくさん食べたシマミミズの糞を肥やしにしたり、豆腐かすや海藻を集めて作った自家製の美味しい発酵肥料を、時々お礼肥やしにしたり、抜いた草をハーブたちの根元に覆土して、米ぬかをすき込むこともしています。
もちろん動物の肥料も有機土壌を作る大切な要素ですからたっぷり使います。
動物肥料とは有機土壌の基準値検査に許可されたものを使用します。
できる限り安全性を重視した栽培に徹します。

畑のハーブたちは収穫したものをどう扱うについても問われました。
もちろん丁寧に栽培したのものだから、丁寧な商品づくりをします。


有機商品という型枠にこだわらず、素材の活かし方や販売価格、商品表示のことなど、商品を求める側に、より安心で安全な商品である為の商品こそが、丁寧な商品だと私は考えております。

日々こうしたハーブたちと自然の営みに同一化し、商品づくりの成長に役立てています。

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